他言語ニュースを見る
ロゴbackgroundfacebookつぶやくモバイルrss

検索

人気検索ワード:

line

韓日関係

姜尚中氏「韓国は精神的先進国を目指すべき」=小説「心」出版

【ソウル聯合ニュース】在日韓国人で聖学院大(埼玉県上尾市)学長を務める姜尚中(カン・サンジュン)氏が著した初の創作小説「心」の韓国語版が19日出版された。

 発売に合わせて来韓した姜氏は記者懇談会で、本の内容が韓国で起きたセウォル号の沈没事故を暗示しているようで驚き、また恐ろしいと感じたと語った。

 エッセー「悩む力」などで人生に対する重い質問を投げかけてきた姜氏は、初めて小説の形式で人生における根源的な問題について考察する。キーワードは「死」だ。

 愛する息子に先立たれるという苦しみを知る姜氏は、この小説に自身を実名で登場させる。 主人公は友人の死により混乱する大学生だ。

 東日本大震災後、海に沈んでいる死体を引き揚げる作業にボランティアとして参加する主人公は姜氏の息子と同じ名前だ。主人公は「姜先生」との電子メールのやりとりにより、傷ついた心を開き、人生の意味を知り、生きていく力を得ていく。 

 姜氏は執筆動機について、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起こり、国家と公的な領域が崩壊したと感じ、また生と死について考えざるを得なかったと説明した。

 セウォル号の沈没事故については、多くの生徒が生きたまま水の中に放置されるとは考えることもできなかったが、その場面をメディアで見た韓国の国民は、国家や公的な領域が崩壊したと実感したのではないだろうかと指摘した。

 さらに、「その場面を見てひとりひとりが、個人がなんとか進んでいくべきと考えたのではないだろうか」と分析した。 

 また、セウォル号の沈没事故を体験した韓国と、東日本大震災と福島第一原発事故を経験した日本が、似たような状況を迎えていると指摘した。セウォル号の事故が東日本大震災に匹敵する衝撃を韓国社会に与えたという意味だ。

 姜氏は「ただ成長だけを追求し、豊かさだけを目指し前に前にと進んだ韓国社会が、われわれはいったい何をしてきて、何をしているのだろうと虚脱しただろうと考える。同時に、幸福というのはいったい何だろうという疑問を持つ若者もたくさん増えただろう」と分析した。 

 福島第一原発事故直後、事故現場を訪れた姜氏は「年齢を問わず、国家とは何かという疑問を持つ人がとてもたくさん増えたと感じた」とした上で、「セウォル号事件を経験した韓国の若者も、上の世代や政治に対し、大きい不信を持つようになったのではないだろうか」と語った。 

 東日本大震災後の日本の政界については、安倍政権が東京五輪というプロジェクトを推進し、震災や原発事故を国民の記憶から消そうとしていると批判した。

 また米中枢同時テロを経験した米国を例に挙げ、テロ後に当時のブッシュ政権が取った政策は復讐であり、テロがなぜ起きたのか深く考えず、外部に問題を転嫁し、そのためイラク戦争のような泥沼に陥ったと分析した。

 今後、韓国社会が進むべき方向については、「われわれは死と向かい合いながらも、その死を忘れることが一番幸せだと考えてきた。韓国も日本も前に進んでいくことだけが生きている証しだと考えた。だが、これからは、立ち止まり、人の死をどのように受け入れるのか真剣に考える時が来た」と述べた。また、「生命を尊重する心があるのかがその社会を評価する基準」と指摘。「韓国社会が精神的な先進社会になるのか、ならないのかという分岐点に立った」と強調した。

 さらに、韓国経済があまり良くない状況で、ただ経済成長にだけまい進し、セウォル号の悲劇を忘れれば、非常に深刻な状況に陥るだろうと懸念を示した。  

yugiri@yna.co.kr