Home 北朝鮮
2009/12/07 09:27 KST
北朝鮮デノミ後も労働者賃金は従前通り、その狙いは


【ソウル7日聯合ニュース】北朝鮮当局がデノミネーション(通貨呼称単位の変更)実施後も労働者や事務員らに従前水準の給与を支払うと明らかにしたことをめぐり、さまざまな憶測が飛び交っている。

 4日にデノミを確認できる報道を初めて行った在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の朝鮮新報は、「工場企業所で受け取る生活費は、従前の金額水準を新たな貨幣で保障されることになる」と述べた。このほかに北朝鮮内外でも、北朝鮮当局のこうした方針を裏付ける話が伝わっている。

 旧通貨と新通貨の交換比率は100対1のため、労働者に新通貨で従前水準の給与を支払うということは、賃金の100倍引き上げと同様の効果をもたらす。問題は、北朝鮮当局が公言した通り、労働者の賃金100倍引き上げが現実的に可能かどうかだ。

新しく発行された北朝鮮の新紙幣=(聯合ニュース)

 これに関しては、北朝鮮当局がデノミを通じ物価を2002年7月1日付「経済管理改善措置」当時の水準まで引き下げると、朝鮮新報が報じたことに注目する必要がある。7.1措置当時、北朝鮮当局が指定したコメ価格は1キログラム当たり45ウォン程度だった。労働者にデノミ前水準の給与、月平均約4000ウォンを新通貨で支払い、コメ価格を7.1措置当時に戻した場合、労働者は月給で約90キログラムのコメを買うことができる計算になる。しかし、市場にコメが十分供給されている状況だとしても、労働者の購買力がこれほど急に上がれば、コメ価格は暴騰するしかない。北朝鮮当局が1キログラム当たり45ウォンで販売するといおうと、豊富な購買力を備えれば労働者はコメ買い占めに走り、コメ価格は瞬く間に跳ね上がる。まして、コメを含むあらゆる財貨の供給が極度に不足する北朝鮮の実情を踏まえると、物価暴騰は火を見るよりも明らかだ。

 実際に7年前の7.1措置直後も、国のコメ配給不足が続くと、住民は市場で当局が定めた以上の価格で食糧を買い入れた。コメ価格は2003年には1キログラム当たり450ウォンとほぼ10倍となり、デノミ直前には2020ウォンと、2002年の49倍に達していた。

 結局、労働者の給与を従前水準に合わせて新通貨で支払うとしても、たとえ名目価値とはいえ急に豊かになった労働者の購買力と慢性的な財貨不足が相まって、北朝鮮市場の物価は急速に上がるしかない。

 現時点で物価上昇速度を予測するのは難しいが、デノミ実施を通じ切り下げられた新通貨の価値を大部分相殺するほど、言い換えると新通貨を旧通貨水準に下げるポイントまで物価が上昇することは、時間の問題だというのが専門家の大方の観測だ。もちろん、北朝鮮当局もこれを予想していると考えられる。北朝鮮が新通貨の額面価を5000ウォンと、旧通貨と同じくしたこともこうした分析の枠の中で見れば説明がつく。

 このようにみると、北朝鮮がデノミの主要ターゲットのひとつとして掲げた「物価抑制」は対外宣伝用の可能性が高い、と専門家らは分析する。物価は一時的には下がるかもしれないが、遠くない未来に現水準近くまで戻らざるを得ない構造のためだ。

 それならば当局はなぜ、市場経済の原理ではつじつまの合わない一連の措置を取るのだろうか。

 大きく見ると、2点を指摘できるという分析が多いようだ。1つ目は、7.1措置後に個人商取引のような市場経済的な要素を活用して相当な富を蓄積し、そのために今では北朝鮮体制の潜在的なリスク要素にまで浮上したかのようにもみえる商売人など、「新興富裕層」を押さえるというもの。100分の1に引き下げられた新通貨の価値がこの先の極度のインフレで暴落すれば、結局は新興富裕層がためこんだ「個人的な富」は一瞬で崩れることになる。この層の没落が、一般労働者など経済的な中・下位層に心理的な慰めとなることは当然で、当局としては支持基盤を強化する効果につながり得る。北朝鮮が今回、すべての商店と食堂に米ドルなど外貨の使用を一斉に禁じたことも、外貨に触れる機会がほとんどない一般住民の反応を意識したものと見なすべきだ。

 当局のもう一つの狙いは、一般労働者を優遇するという「体制宣伝」効果と考えられる。北朝鮮中央銀行のチョ・ソンヒョン責任部員がデノミを報じた朝鮮新報のインタビューに、実施の背景を「国家と社会のために誠実に働いて労働報酬を受け取る労働者を優待する措置」と強調したこととも相通じる。チョ責任部員は「労働者、農民、事務員など絶対多数の労働者から、今回の国家措置が大変正しいとして歓迎と支持を受けている」と述べていることから、当局の期待するところがうかがわれる。

japanese@yna.co.kr