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「君の名は。」大ヒットに一役 字幕翻訳家の姜ミン夏さん

【ソウル聯合ニュース】韓国で日本のアニメーション映画「君の名は。」が大ヒットを記録した。同作品は韓国で累計観客数350万人を突破し、「ハウルの動く城」が持っていた301万人を超え、韓国で上映された日本映画の記録を12年ぶりに塗り替えた。「驚異的」とも言える人気を陰で支えたのが、字幕翻訳家の姜ミン夏(カン・ミンハ)さん(40)だ。

インタビューに応じる姜さん=(聯合ニュース)
インタビューに応じる姜さん=(聯合ニュース)

 来韓した監督の舞台あいさつやインタビューの通訳も務めるなど、日本映画を韓国に紹介する最前線で活躍している。これまで手がけた映画は「Love Letter」「花とアリス」など岩井俊二監督の作品や「となりのトトロ」など宮崎駿監督の作品など、およそ200本に及ぶ。「ハウルの動く城」も担当した。現在はプロデューサーとして韓日合作のアニメ映画の製作にも参加している。

 釜山生まれ。韓国の名門・梨花女子大を卒業した。学生時代から映画と語学が好きで、日本映画のみならず、さまざまな海外の映画に親しんだ。大学での専攻は新聞・放送学。映画担当の記者になるのが夢だったが、交換留学生として津田塾大で学んだ際に韓国の映画雑誌の通信員を務めたのがきっかけとなり、字幕翻訳家の道を歩むことになった。初翻訳は大学4年生の時。カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)に輝いた今村昌平監督の「うなぎ」だった。

 翻訳をする際に最も心がけているのは「簡潔さ」だ。

 「字幕はあくまでも補助的な役割。長い字幕のせいで、俳優の表情や美しい風景を見落としてはなりませんから」

 昔の字幕表記は右横に縦書きが主流で、文字数に制限があった。今は 画面下の横書きに変わった上、デジタル方式を採用しているため、いくらでも字幕を入れられる。それでも、「簡潔さ」へのこだわりは守り続けている。「小説の場合、理解できなければもう一度読めばいい。しかし、映画でそういうことは許されない。読むのではなく、ひと目で見られる翻訳をしています」と話す。そのこだわりのため、一つの作品を20回以上は見ている。

今後も韓日両国の文化をつなぐ役割を担っていきたいと思っている=(聯合ニュース)
今後も韓日両国の文化をつなぐ役割を担っていきたいと思っている=(聯合ニュース)

 韓国では日本語を分かる人が多い上、日本映画やアニメの“オタク”も少なくなく、字幕に対する苦情が寄せられることもある。しかし、字幕は日本語が全く分からない不特定多数の観客を念頭につくらなければならないと思っている。

 やりがいを感じるのは、字幕が高評価を受けた時だが、何よりもうれしいのは映画のヒットだ。字幕翻訳の報酬は定額制で、観客動員数は関係ない。とはいえ、多くの人に見てもらうことが一番うれしい。 

 翻訳は異文化に接する際の窓口の役割を担っている。だが、その能力やつぎこむ時間は十分に評価されておらず、作業は非常に孤独だ。それでも、姜さんはこの仕事に愛と誇りを持っている。「翻訳作業は初めての道を歩くことと同じです。それに対する誇りと責任がある。日本映画は心を動かす作品が多い。それを一人でも多くの人に見てもらえれば」とほほ笑む。

 今月初めには釜山の日本総領事館の招きで日本文化をテーマにした講演も行った。今後も韓日両国の文化をつなぐ役割を担っていきたいと思っている。そして、映画では伝え切れなかった監督や俳優の話を本にしたいという夢も持っている。仕事とはいえ、良い監督や俳優を間近で見てきた人としての「義務」と思えるからだ。

csi@yna.co.kr